私は、芸人3年目。
まだまだ下っぱで、日々の劇場出番をこなしている。
夢は冠番組MCだ。
のくせして全く売れないひたすらに売れない。
相方は実の妹。いわゆる姉妹コンビだ。
とにかく早く売れたい
きらきらした生活を送りたい
売れないながらもテレビ出演は決して0ではない。
月に2、3回は深夜のお笑い番組に出れる程度だ。
普通の劇場は所属出番という形で、1日だいたい2、3回。他のライブも出ているのでそこそこ充実はしている。でもやっぱりお金が足りないのでバイトで生計を立てる日々。
テレビ出演は、劇場とは違いオーディションで残らないと出れない。
ネタを作っては相方とすり合わせ、書いては消して、見せてはダメだしされて、、、
私は、大学卒業後に一般企業の営業職として働いていた。でも自分には向いていないと一念発起して芸人の道へ。と同時に妹も大学を卒業した。
そこで妹を誘って、シスターズという安直な名前でコンビを組んだ。
25歳、新しいスタートを切った。
その時からネタは自分が中心、相方とすり合わせをして、ネタも作ってないのにアドバイスされる。
妹は楽しそうな人生送ってるのに、、、
劇場出て、バイトに行って、気がつけばもう芸歴5年目になっていた。
相変わらずバイトはやめられないし、オーディションやネタ見せではダメ出しばかり。
そろそろ潮時かな、、
どっか転職できるかな、、
スマホに転職アプリをとりあえず2個ダウンロードした。
情報を登録していた時、
プルプル〜
マネージャーからだ、滅多にかかってこないのに
「みさきさん!ネット番組レギュラー決まりました!司会は、ピートンの武田さんです!」
レギュラー、ピートン武田、、
頭の中で、繰り返し発せられたマネージャーの声。
「え?うそですか、コンビですよね?」
「ほんとです!しかもみさきさんだけです!」
「私だけ、相方は?いつからでしょうか、、」
「実は武田さんからお話あったみたいです!前劇場出番の時にご覧になられて、何か売れる予感がしたみたいですよ!!
1ヶ月後から、ベンTVで収録スタートです!
また詳細連絡しますね!やりましたね!」
プー プー
武田さんが売れる予感、、
ネット番組大手のベンTV
自分だけ、、
やった、やった!ついにきた!
私の時代だ!選ばれたんだ。あの大人気大御所芸人に、しかもわたしだけ、レギュラーで!
速攻で転職アプリを消した。
心は跳ねまくっていた、きっと周りから見ていても普通に跳ねていただろう
やばいやばい ぶつぶつ言いながら家に帰った...